森永の焼きプリン(森永乳業):よくわかる食品特許の話

こんにちは勇者トモです。

最近「任天堂」が「コロプラ」を特許侵害したとして訴えたことが話題になりましたね。特許の取り方って本当に難しいんです。

実は食品の製造にも様々な特許技術が使われています。今回は「森永の焼きプリン」を例に少し特許の話をしてみたいと思います。

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焼きプリンの特許

早速「森永の焼きプリン」買ってきました。

もはや説明不要ですね。誰もが1度は食べたことがあるんではないでしょうか。

ではこれのどこに特許技術が使われているんでしょうか。

答えは焼きプリンの焦げ目のつけ方です。

きれいな焼き色がついてます。このプリン実はちゃんと焼いて作っているんです。

焼きプリンの製造方法

焼きプリンを作るときは普通は、アルミカップや耐熱性の陶器等を使用します。しかし、大量生産するとなるとやっぱりプラスチック容器で生産する必要があります。プラスチック容器は耐熱性のものでも180℃ぐらいまでしか耐えられません。普通にプリンに焼き目をつけようと焼いてしまうと容器が熱に耐えられず変形してしまいます。

そこでこんな方法を使用し焼き目をつけています。


焼きプリンの作り方

  1. プラスチックカップにプリンミックスを充填する
  2. プリンミックスの表面にを乗せる
  3. オーブンで焼く

ここで重要なのは『』です。ポイントは以下の3点。

 

  • 泡ならば液体(プリンミックス)の上に乗せることができる
  • 泡ならば機械で充填することができる
  • 泡は液体よりも熱が伝わりやすいので、泡の部分だけすぐに温度が上がり焦げ目がつく

 

思ったより単純だったかもしれませんが、実に画期的な技術です。

焼きプリンの作り方、発明者は誰?

この技術の発明者は「オハヨー乳業」という岡山の乳業メーカーになります。なんと森永乳業ではないんです。

実際に両社の特許の内容を見ていきましょう。

まずはオハヨー乳業から。


【目的】

容器としてプラスチックカップを用いて焼成でき、しかも品質の優れた焼プリンの製造法を提供する。

【構成】

プラスチックカップにプリンミックスを充填し、その表面に微細な泡状物を供給した後、140℃程度の温度で焼成して泡状物を均一に焦がすことにより焦げ目を付ける。この焦げ目は柔らかくてスプーンの通りが良く、かつ独特の焦げ臭による風味があって、非常に美味しい焼プリンを製造できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラスチックカップにプリンミックスを充填し、その表面に微細な泡状物を供給した後、所定温度で焼成して前記泡状物を適度に焦がすことを特徴とする焼プリンの製造法。

【出願番号】特願平3−240278
【出願日】平成3年(1991)8月28日
【氏名又は名称】オハヨー乳業株式会社

【公開番号】特開平5−49429
【公開日】平成5年(1993)3月2日
【発明の名称】焼プリンの製造法

出典:tokkyoj.com

 

続いて森永乳業。

【目的】
160℃以上の高い温度で衛生的に焼成し、表面に鮮やかな焦げ目を有し、かつ優れた風味と組織を有し、すぐれた品質の本格的な焼プリンを製造する方法を提供する。

【構成】
合成樹脂製容器にプリン原料を充填し、容器に充填した該プリン原料の上面にゼラチンを含む微細な気泡を含有する泡状原料を充填し、各原料を充填した容器を水又は温湯に浸漬せずに少なくとも160℃の温度で加熱し、該泡状原料を焼成することを特徴とする焼プリンの製造法。


【特許請求の範囲】 
【請求項1】 合成樹脂製容器にプリン原料を充填し、容器に充填した該プリン原料の上面にゼラチンを含む微細な気泡を含有する泡状原料を充填し、各原料を充填した容器を水又は温湯に浸漬せずに少なくとも160℃の温度で加熱し、該泡状原料を焼成することを特徴とする焼プリンの製造法。

【出願番号】特願平5-93548
【出願日】平成5年(1993)3月29日

【公開番号】特開平6-276977
【公開日】平成6年(1994)10月4日

出典:patentjp.com

出願日、公開日ともにオハヨー乳業の方が早いことがわかります。ではなぜ森永乳業が焼きプリンの作り方の特許を取り、オハヨー乳業と同じ『』を乗せる方法で焼きプリンを製造できるのでしょうか。

なんとオハヨー乳業に成立した特許には、泡の主原料が「牛乳、砂糖、卵黄」と指定されてしまったのです。請求項がどういうわけか変更されたということです。これによりせっかくの技術がザル特許になってしまいました。

「牛乳、砂糖、卵黄」を使わずに焦げやすい泡を作ることは容易です。つまり、森永乳業はこの特許の穴をついたわけです。

特許の出願をするときは、守りたい部分をどう守るかよく作戦を練る必要があるんですね。失敗するとこの焼きプリンのように逆に技術流出みたいなことになってしまうわけです。

気になるお味は?

これは説明不要でしょう。なのでここではオハヨー乳業の焼きプリンとの味の違いを説明したいと思います。

両社の焼きプリンの味に劇的な違いはありません。違いがあるとしたらやっぱり焼き目の部分でしょう。食べ比べてみてわかるかどうかの微々たる違いですが、「森永乳業の焼きプリン」の焼き目はほんのちょっと洋酒の味がします。「オハヨー乳業の焼きプリン」の焼き目は洋酒の味がしません。その程度の違いです。

どちらを買うかは完全にお好みでどうぞ。

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2018年1月23日

まとめ

商品名:森永の焼きプリン

製造者:森永乳業(株)

内容量:140g

エネルギー:187kcal

入手価格:84円

トモ
少し難しい話だったかもしれませんが、面白いと思ってくれる人がいればうれしいです。
 
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